新潟家庭裁判所 昭和39年(家)2491号 審判 1966年5月30日
申立人 藤井イシ(仮名)
相手方 藤井イクコ(仮名) 外一名
主文
相手方両名は連帯して申立人に対し、昭和四一年六月から本事件の確定に至るまでの間、毎月二五日限り金五、五〇〇円づつを、申立人方に持参又は送金して支払え。
理由
相手方等は夫婦、相手方イクコは申立人の長女、同貞男は申立人の養子であつて、当事者らは、昭和三八年八月ころまで相手方らの子四名を含め相手方らの現住所で共に同居していたが、そのころ申立人と相手方らとは折合が悪くなり別居した。当時親族も加わつて協議の結果、概ね、相手方らから申立人に対し毎年米四俵および毎月現金六、〇〇〇円を給付すべきことになつたが、相手方らは当初のころ約五万円を給付したほかそれを殆んど履行しなかつた。
そこで、申立人は出稼ぎ先から呼戻した四女キヌと生活を共にしているが、同女と自己の全収入を充ててもその生活費を賄いきれず他に見るべき資産もないので、その不足額は相手方らから扶養料として補給を受ける権利があるとして昭和三九年三月二四日本件(扶養料請求)を申立てているところ、これに対し、相手方らは、いつでも申立人を引取り扶養するしその際は申立人のため毎月金五、〇〇〇円ないし六、〇〇〇円の出費を見込んでいるが、申立人に別居のまま扶養料を支払う意思はないと陳述し、当事者の主張は対立している。
ところで、申立人の夫は、その両親(相手方イクコの祖父母である浪男夫婦)より先に死亡したので、相手方夫婦が浪男らの養子となり、浪男夫婦の遺産については、イクコの妹であるキヌ外二名は相手方らに母である申立人およびキヌの扶養をして貰うことを期待して事実上相談をせず、事実上は全部を相手方らが相続をしているなど、本件に関しては複雑な事情がからまつているから、本案の審判をしてもその確定を見ることは容易でないと思料されるので、その審判前に、申立人の生活について、取りあえず臨時の処分を必要と認め、主文のとおり審判する。
(家事審判官 新川吹雄)